繁華街のファーストフード店で、息子と二人
遅めのランチをとった。
隣のテーブルを見ると、7歳くらいの女の子が
一人でジュースを飲んでいる。
合い向かいの椅子には、少女の上半身くらい
ありそうな大きなボストンバッグが置かれ、
その上にキティちゃんの絵がついた小さなリュック
が乗っている。
母親はこの子を置いて買い物にでも行ったのだろうか。
トイレではないことはわかっている。
私が、入店してすぐに手を洗いに行った時、
トイレは無人であった。

20分も経っただろうか。
依然、少女の保護者は現われない。
何となく気になって、女の子に声をかけてみた。
お母さんと来たの?ここで待っててって言われたのかな。
すると少女は、うん、とも、ううん、ともつかぬ
曖昧な頷き方をした。
その表情は固く、取りつく島もないという感じだ。
テーブルに置かれた紙コップのジュースは、とうに
空になっていた。

さらに15分ほど経った。
少女は相変わらず一人で椅子に腰掛けている。
私は席を立つ間際、もう一度彼女に話しかけた。
一人で大丈夫?
すると彼女は、今度ははっきりと頷いて見せた。
しかし、表情は固いままである。
知らない人と話してはいけない、と躾られている
のかもしれない。
仕方なく、私と息子は店を後にした。
それきりである。

2時間後、用をすませた私と息子は、再びその店
の前を通りかかった。
私が、窓から店内を覗きこむような仕草をすると、
息子が言った。
ここからじゃ見えないよ、ママ・・
彼もまた、あの暗い顔をした女の子のことが気に
かかっていたらしい。

今頃は、家族とともに食卓を囲んで、
団欒してくれているといいのだが。
子どもをもってからというもの、一人でいる子を
見ると、何故か気になって仕方がない。


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