絵画制作

2002年10月21日
朝、息子が憂鬱そうな顔をして言う。
「ぼく、熱ない?」
額に触ってみる。熱があるどころか、冷たいくらいだ。
ないわよ、と言ってやると、彼は残念そうに、
「あるような気がするんだけどなぁ・・」と言いながら、しきりに自分の手の平を額に当てている。
彼が発熱を期待する理由はわかっている。きょうは、図工の授業で、先日の遠足の絵を描く予定なのだ。
息子は、絵画制作が苦手である。
1年生の頃から、絵を描く授業の日は学校を休みたがる傾向があった。
もともと、勉強は嫌いではない。
特に算数が得意で、1時間目から5時間目までずーっと算数だといいのに、と言うほど好きなのだが、反面、絵画に対するコンプレックスも大きい。
絵画制作も算数も、生まれついてのセンスがものを言う。
それが、この世に生まれてたった7、8年でこれほどまでにはっきりしてしまうものなのかと思うと、なんだか可笑しく、そして哀しい。

苦手な科目も嫌いな科目も、避けずに学ばなければならない。
少なくとも、義務教育を受けている間は。
人生も同じである。
好きなことだけやって生きていける人はいない。
それを最初に学ぶのが、小学校というところなのかもしれない。
何度もため息をつきながら、息子はランドセルを背負って玄関を出て行った。
その後ろ姿に母は、声にならないエールを送った。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索