2003年1月3日
午前中にスーパーに買い物に出かけた夫が、すぐに戻ってきた。
財布を忘れたのだという。
まさに、男サザエさんだ。

彼は、天気予報ファンである。
敬虔な信者といってもいい。
首都圏に雪、などという予報が出てしまうと、やおら興奮し、揉み手しながら対策を練り始める。
明日は自転車に乗れるか、電車は動くのか、といったことを呟きながら家の中をうろうろ歩き回り、落ち着かないことこの上ない。
予報が当たらなかった時の言い草もいい。
「予定が遅れているんだ」とくる。
予報ではなく、予定。気象が、まるで待ち合わせしている知人のようだ。
旅行の予定などがあると、1ヶ月近くも前からテレビで長期予報を見て一喜一憂する。
旅行計画を天気予報で楽しむ人も珍しいだろう。
天気予報なんか、当たらない。
時に、私がそう言って煽ると、夫は口角泡を飛ばしながら、天気予報の信憑性の高さを主張する。
だって、最近は局によって予報が違うのよ。
私がそう言うと、夫は不機嫌になる。
なぜテレビ局は気象庁の発表を素直に信じないのか、と文句を言うのだ。
気象庁の発表を、大本営発表のように考えているらしい。
そもそも、天気予報の仕組みそのものがよく理解できていないと見受けられる。
要するに、単なるミーハーファンなのかもしれない。

夫は、実に面白い男である。
この「面白い」には、奇妙な、不思議な、風変わりな、といったニュアンスを含む。
人間ウォッチングをライフワークのひとつとしている私にとっては、興味深い観察対象であることに違いはない。
そう考えると、この結婚は、ある意味私にとって成功だったのかもしれない。

結婚生活など、もともと面白味に欠けるものなのだから、些細なことに愉しみを見出さなければやってられないではないか。

きょうの夫は、先刻から首都圏に降り始めた雪が「積もらない」であろうことを天気予報で見て、興奮をそがれた顔でぼんやりしている。


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