「冷静と情熱のあいだ」を読んだ。
この物語がブームになったのは、数年も前のことである。
私はまだ映画も見ていない。

この本は、江國香織と辻仁成の二人の作家が、ひとつの恋愛を主人公の男女それぞれの視点から描いたふたつの物語で構成されている。
もともとは、月刊カドカワに二人の作家が交互に1章ずつ掲載していくという方法で連載されたものを、連載完結後に1冊ずつの本にまとめたものだという。
私は、辻氏の書いたBluの方から先に読んだ。読んでしまった。
2冊とも読み終えてからの感想だが、これは江國著のRossoから読んだ人と、私のようにBluから読んだ人、あるいは連載時に交互に読んだ人とでは、それぞれ大きく印象の違ってしまう物語なのではないだろうか。
はからずもBluから読んだ私は、主人公の男性「順正」にかなり感情移入してしまった。
そして、順正が語る順正自身と、恋人のあおいが語る順正像に微細なズレがあることが、とても興味深い。
自分が知っている自分など、全体のほんの半分程度なのかもしれない。もしかしたら、それ以下かも。
そんなことを実感させる、ふたつでひとつの物語である。

久しぶりにヤラれた。
実際にはまだ見たことのないミラノの街の景色が、脳裏から離れない。
何度読み返しても、泣けてしまう場面がある。
ここ数日、おかしな夢ばかり見ている。

「月刊カドカワ」連載当時同様に1章ずつ交互に編集し直した同名の本をネットで探し出して、きょうオーダーした。
もう1度、読まなければならない。
そして、順正とあおいの恋を自分なりにきちんと検証しなければ。

物事に感情移入しすぎるのが、昔からの、私のもっとも愛すべき欠点である。

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