インコ

2003年2月19日
実家で飼っていたボタンインコが死んだ。
新婚の頃、仕事で毎晩帰宅の遅かった夫が、私が一人で寂しくないようにと買ってくれたインコだった。
その後私は妊娠し、生まれた息子がアトピー体質だったためインコを飼うことができなくなり、実家に預けたのだった。そのまま10年が過ぎてしまった。
お菓子の箱に入れられた私のインコは、幼鳥の頃と変わらぬ美しい羽のまま冷たくなっていた。

インコを飼い始めたばかりの頃の、ある日。
仕事を終えて私が帰宅すると、当時まだ幼鳥だったインコが、鳥かごの片隅に羽を丸めてうずくまっていた。
迷った末に私は夫の会社に電話をかけ、鳥の具合が悪いのでこれから動物病院に連れて行く、と告げた。
深刻な顔で電話を切った夫に、心配をした上司が、家で何かあったのか、と訊ねてくれたそうだ。
夫はまじめな顔で、「鳥の具合が悪いそうです」と答えた。
すると上司は笑って、「いいなぁ、新婚って!」と言ったという。

あれから10年。
インコの成長とともに、かの新婚家庭も十分にこなれた。
もしかしたら、十分すぎるほどに。

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