片方だけのピアス

2003年3月21日
初めてピアスを開けたのは19歳の時だった。
その時に開けたのは、右耳だけ。
すぐに左を開けなかった理由は、痛かったから。

ピアスを開けてしばらくたった頃、恋人がヨーロッパに3週間の卒業旅行に行くことになる。
つき合い始めて間もなかった私たちは、3週間ものあいだ離れ離れになるのが辛くて仕方がなかった。
出発前に、彼は私にピアスをひとつプレゼントしてくれた。
「ぼくが旅行から帰るまで、はずさないで」
と、彼は言った。
ピアスは肉体の中に装着する唯一のアクセサリー、と以前私が話したことがあったのを彼は憶えていたのだ。
だから指輪ではなくピアスを選んだ、と彼は言った。
純情だった私は、彼のピアスを右耳につけて片時もはずさずに、彼が帰国する日を指折り数えて待った。

その恋人と別れて数年後、私は左耳にもピアスを開けた。
6年間の交際中に彼からプレゼントされた沢山の片ピアスが、やっと使い物にならなくなり、妙にホッとしたのをおぼえている。

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