青年座

2003年3月22日
劇団青年座の第166回公演「乳房」の中浦伊作役を、病に倒れた西田敏行氏に代わり、山野史人氏が演じている。

私は山野さんの20年来のファンである。
初めて山野さんの舞台を観たのは、高校に入学したばかりの頃だった。
精悍なイメージと独特な響き方の声をもつ山野さんに、15歳の私は一目惚れしてしまった。
劇団宛てにファンレターを出したところ、山野さん自身から丁寧なご返事をいただき、何度かやりとりをさせていただいた。
やがて、公演のたびに花束を持って楽屋を訪ねるようになった。

山野さんの奥様が女優の初井言榮さんだと知ったのは、それから2年ほど経った頃だった。
山野さんが13歳も年上の女性と結婚していると知って、少なからずショックを受けた私は友人に、
「ねぇ、男の人って、13歳年上の女性と女子高生と、どっちがいいと思う?」
などと、きわめて愚かしい質問をぶつけてみたりした。
たしかに当時の私は、押しも押されもせぬ女子高生であった。
友人は半ば呆れ顔で、
「目的によるんじゃないの?」
と言い、私は言葉を失った。

一度だけ、山野さんの楽屋で、まだお元気だった頃の初井さんと鉢合わせをしてしまったことがある。
山野さんは奥様に私の姓を言って紹介してくださったが、初井さんは初対面の私の名前をご存知で、
「○○さんね?こんにちは」と言いながら厳しい笑顔で私を一瞥した。
場の空気を察した私はただちに退散することにし、ロビーに待たせておいた男友達の所に小走りで戻った。
その初井言榮さんが亡くなって、もう10年以上になる。
時の経つのは、本当に早い。

きょう青年座に電話をして「乳房」のチケットを予約した。
電話口で対応してくれた劇団員の女性と、今回の公演の配役変更について少し話したあと、私が、
「いろいろなことがありますね・・」
と言うと、女性も電話口で、
「本当にねぇ、いろいろなことがあります」
と返した。

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